泉ガーデンレジデンス の情報掲載

評価機関に支払う性能評価の費用は一五万円前後だが、そのために必要な書類作成の費用などを工務店側が施主に請求するケースが多く、その分が五万円、一〇万円と乗ってしまうのである。
こうしたマイホーム購入者の費唄負担は、そのまま性能表示制度の利用率に跳ね返る。
品確法による性能表示制度が始まって一年経過したころ、その利用状況を発表したが、全国に八三ある評価機関による受付戸数は約四万二八〇〇戸。
実際に評価書が公布されたのは約三万六一〇〇戸で、その間の全住宅着工件数のわずか四%程度にすぎない。
しかもその七、八割は、費用が安く、物件価格に上乗せされるため、購入者の抵抗の少ないマンションである。
利用率の低さは行政の側のアナウンス(広報)不足もあるが、こうしたコスト増を嫌う購入者の意識が変わらない限り、とりわけ一戸建ての場合は、なかなか改善しないのではないか。
そもそも「欠陥住宅ではない、立派な住宅である」ということを証明するのに、なんで購入者がその費用を負担しなければならないのか、という根本的な疑問もある。
本来なら、「お客様にご満足のいただける住宅をつくりました」と言って、自ら費用を負担し、それを証明するのが住宅メーカーやマンションメーカーの務めではないのか。
それに評価機関の側からは、マンションで五万円前後、一戸建てで一五万円程度という性能評価の相場は安すぎる、という声も聞かれる。
どの世界もそうだろう、「これだけやってこの値段か」となれば、「だったらカネに見合った仕事しかしない」と、手抜きに走る人間が現れるものだ。
欠陥があっては困るから惟能評価を頼んでいるのに、そこで手抜きが行われたらどうなるか。
工事の手抜きと、評価の手抜きのダブルパンチでも食らった日には、マイホーム購入者はたまったものではない。
さらに言えば、評価機関とマンション会社との癒着も大いに懸念されるところだ。
新築の性能評価制度が実施されて一年、その利用の七、八割はマンションだったと書いたが、これは評価機関にとって一つの現場で何十、何百戸とまとめて評価戸数が稼げる旨味のある仕事だからだ。
そんなことは素人が考えてもすぐにわかる。
一戸建てを評価するために一口がかりであちこち歩くよりずっと効率がいいのである。
そんなわけで評価機関は一戸建てよりマンションの性能評価を受注したい。
それも大規模マンションほどいい。
当然、おいしい仕事だから受注競争が起きる。
その結果、評価費用が下がるのはいい。
消費者の利益になる。
しかしダンピング受注の見返りとして、評価に欠陥を見て見ぬフリをするような手心が加えられたり、キックバックの背任行為が行われたりするのであれば、とんでもない請である一。
二〇〇二年度中に始まるとされる中古住宅の性能表示制度は、新築の評価制度の延長線上にあるから、基本的な仕組みに大きな違いはないと思われるが、すでに存在する建物を評価するという点で、新築以上に難しい問題を抱えている。
それはどういうことかと言えば、検査は目視主体の現況調査にならざるを得ず、壁の中まではチェックできない、ということである。
住宅のほんとうに大事なところは、床下や天井裏、壁の内部など、目に見えないところに隠れている。
国土交通省の押当部署に、その点の不安をぶつけたら、「非破壊の目視検査には自ずと限界がある」と、あっさりそれを認めた。
壁や床や天井に穴を開けてまでチェックするわけにはいかない。
目に見える範囲で判断するしかない、というのである。
米国では住宅の建築に当たって詳細な設計図面が作られ、行政担当者はそれが建築法規に合致しているかどうかを入念にチェックし、違反があれば着工を許可しない。
許可がおりて施工に入ると、今度は設計図書通りに施工が行われているかどうかを自治体の検査官が何度も現場に足を運んで検査する。
もちろん壁の中など後で目に触れなくなってしまう部分についても設計図面と相違ないかの厳しい検査があって、検査官の承認が得られないと、それを直すまで次の施工段階に進めないようになっている。
米国では新築時にそのような建物の信頼性が担保されているからこそ、中古になっても安心して売買できるのである。
確かに日本にも建築確認や完了検査などの住宅検査制度はある。
しかし建築確認は建築基準法に則って設計図書を出せばいいだけで、すこぶるチェックは緩い。
施工後はさらに甘い。
行政の検査官が現場に足を運んで検査する実例は少なく、現場任せが実情である。
完了検査も実際はなされないケースが多い。
このため書類上は、いつまでたっても建築中の住宅が、この国にはゴマンと存在している。
日本で住宅の性能評価制度が、新築、中古と相次いで導入されたことは歓迎すべき変化ではある。
が、そもそも新築の施工段階がこのようなありさまでは、果たしてどこまでその評価が信頼に僻するものとして定着するかは疑問と言わざるを得ない。
現時点では、まあ、神社のお守り程度のものだと思っている方がよさそうである。
いずれにしろ、これまで一五年もすれば二束三文とされてきた中古の建物部分を性能評価し、物件価格に反映させるということは、とりもなおさず中古住宅の価格を上げるということだ。
我が家の値段を下がるにまかせていた人にしてみれば、なるほど資産価値が上がるのは歓迎すべきことだろうし、なかには買い替えを考える人も出てくるだろう。
しかしそれは売り手の論理であって、買い手は安い方がいいに決まっている。
売り手は常に高く、買い手は常に安く。
すべからく相場のある商品は、そのような心理のぶつかり合い、駆け引きの対象となる。
金(ゴールド)しかり、株式しかり、商品先物しかり、である。
住宅も例外ではない。
相場というのは、上がり続けているときはいいが、一度どかんと大暴落してしまうと、なかなかとげるのは容易ではない。
それはこの国の株式市場が何より証明している。
住宅市場も同じように考えればよい。
地価の下落はしばらく止まりそうにない。
少しくらい上物を評価したところで、結局、地価の下落に食われてしまう可能性は十分にある。
何より地価がトがれば、新築の値段もさらに下がる。
そのとき新築と競争できるか、という請だ。
国の思惑通りに中古の住宅相場を押し下げて、団塊の世代に住み替えを促すことができるかどうか。
なかなか容易なことではないと思う。
国が「品確法」をつくった最大の動機は、A県木造住宅に象徴されるような多発する欠陥住宅への対応を迫られたのと、地球環境保護への取り組みが世界的な潮流となるなかで、新築偏重の短命住宅を供給し続ける―つまりスクラップ・アンド・ビルドで膨大な量の建築廃材を生み出し続ける―住宅政策への国際的な批判を恐れてのことだった。
廃棄物不法投棄の九割は建築廃棄物だと言われる。
せいぜい一二〇年という短命さで貴重な地球資源を浪費するばかりの日本の住宅政策は、シベリアをはじめとする世界の森林等々にとってとんでもない脅威になってしまった。
その一方で自国の山林には「高すぎる」という理由で使われない杉や檜が使われている。
そして毎年春先になると、花粉症の温床だと言って槍玉にあげられる。
まったくどうかしている。
粗末で短命。
日本の住宅が昔からそうだったわけではない。
知人の実家がS県のT市にあるが、築百数十年を経たいまもびくともせずに居住に耐えている。

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